
”約数・倍数・割り切る”の記号
倍数と記号の定義
\(n,m\) を自然数とする。\(n\)が\(m\) の倍数であるとは\(n=ml\)となる自然数\(l\)がある時をいう。\(n\)が\(m\)の倍数であるということを、\(m\)は\(n\)の約数であると言ったり、\(m\)は\(n\)を割り切るとも言う。
また\(m\)が\(n\)を割り切る時、記号を使って\(m|n\)と表す。
記号の”|”の使い方
\(a|b\)と書いた時\(a\)は\(b\)を割り切るという日本語訳となります。
1簡単な具体例
\(2\)は\(4\)を割り切るので \(2|4\)とかけます。\(4\)は\(8\)を割り切るので\(4|8\)も成り立ちます。もちろん\(2\)は\(8\)を割り切るので\(2|8\)も成り立ちます。
2推移律が使える
推移律とは簡単に言えば次のようなことです。
”AならばB。BならばC。よってAならばC”
さっきの例でいえば
"2は4を割り切り、4は8を割り切る。よって2は8を割り切る"
と言えるということです。
何が嬉しいの?
二つの表現
”\(a\)は\(b\)を割り切る”
”\(a|b\)”
を比べたときに、どちらが短時間で楽に書けるかを考えてみてください。そうすると記号を使って表記するメリットは明らかです。
\(a|b\)と書かれていれば、どちらが倍数かもすぐに識別できるので見通しも良くなります。
”割った余りが等しい”という記号
合同式の定義
\(M\)で割った余りを考える。\(n\)と\(m\)を\(M\)で割った余りがそれぞれ等しいとき$$n \equiv m (mod M)$$と書く。特に誤解の恐れが無い時は単純に\(n \equiv m\)と書く。
合同式の性質と使い方
合同式にはとても嬉しい性質が3つあります。足し算、引き算、掛け算がイコールと同じように使えるということです。
1足し算・引き算は自由
\(7\)で割った余りを考えてみます。\(a \equiv 5,\ b\equiv 6\)だったとしましょう。すると\(a+b \equiv 5+6\)が成り立ちます。
更に、\(5+6\)を\(7\)で割った余りは\(4\)ですから\(5+6 \equiv 4\)が言えます。つまり$$a+b\equiv 5+6 \equiv 4$$です。引き算に関しても同じことができます。
2掛け算も自由
\(4\)で割った余りを考えてみます。\(a \equiv 2,\ b\equiv 3\)だったとしましょう。すると\(ab \equiv 2\cdot 3\)が成り立ちます。
更に、\(2\cdot 3=6\)を\(4\)で割った余りは\(2\)ですから、\(2\cdot 3\equiv 2\)が言えます。つまり$$ab\equiv 2\cdot 3\equiv 6\equiv 2$$が言えるということです。
合同式の何が嬉しいの?
また\(4\)で割った余りを考えてみます。\(5^{100}\)を\(4\)で割った余りを考えたい時、合同式を使えば
$$5^{100}\equiv 1^{100}\equiv 1$$
となります。余りだけの計算をすればいいのでとても楽になります。
おわりに
今回は”割り切れる”と”割った余りが等しい”という二つの記号を紹介しました。どちらもすごく使いやすい記号なので、入試でも使ってみてください。時間が圧倒的に短縮されるかと思います。