今回は”合格点をとる数学の勉強法とその参考書”をメインに記事にしました。
大事なのは数語力
受験数学が簡単になる勉強法
数学はパズルです。
与えられた条件と証明すべき事を数学化することさえ出来れば、後はその条件を組み立てるだけでほとんどの証明ができます。
条件を数学化する力を数語力と呼びます。
数語力が問題を解く上で大事な理由
日本語の文章を数語に直すことで、問題を解く際の見通しがとてもよくなります。
見通しが良くなると余計な情報に惑わされずにすむので、問題に集中できます。
たとえば...
これを数語に直せば$$C\cdot F\cdot L=200$$と単純化できます。C、F、Lが何を指すのかは理解する必要がありますが、数語化してしまえばその情報は数学の中ではどうでもいいです。
実際、C、F、Lに関しての方程式が他に出てくれば、それが何を意味していたかを考えずとも連立方程式が解けます。
では、もう少し複雑なベクトルの例でみていきましょう。
ベクトルの数語化
この問題を数語化するポイントは2つだけです。
- 正四面体の数語化:
”一辺の長さが\(1\)の正四面体”という条件を過不足なくベクトルで書き表すことができるか - 体積の数語化:
体積をベクトルで表すことができるか
まず正四面体の条件は$$|\vec{a}|=|\vec{b}|=|\vec{c}|$$$$\vec{a}\cdot\vec{b}=\vec{b}\cdot\vec{c}=\vec{c}\cdot\vec{a}$$です。一辺の長さが1なので\(|\vec{a}|=1,\vec{a}\cdot\vec{b}=\frac{1}{2}\)と具体的に求まります。
次に、体積をベクトルで表すために考えるべき方法を考えます。
一般的に体積を求めるには積分か公式に頼るしかありません。今は初等図形なので公式に頼れます。
三角錐の体積を求めるためには次のように考えます。
- 体積が欲しい
- 底面積と高さが欲しい
- 目的:底面積と高さをベクトルで表す
1ABCの面積を数語化
1辺の長さが1の正三角形の面積はベクトルを使わずに求められますが、ベクトルを使って表すことが数語力です。$$\text{ABCの面積}=\frac{|\vec{AB}||\vec{AC}|\sin \text{CAB}}{2}$$これで面積は表せました。ただsinがベクトルで表せてないのでまだ不十分です。
ベクトルと角度を絡める式は内積しかないので$$\vec{AB}\cdot\vec{AC}=|\vec{AB}||\vec{AC}|\cos \text{CAB}$$を使えば三角形の面積が全てベクトルで表せたことになります。
2四面体の高さを数語化
頂点Oから三角形ABCに水線引いてできた交点をHとしましょう。\(\vec{OH}\)を求めれば高さが求まります。
ここで重要なのが、新たに出てきた点Hの数語化です。
- Hは平面ABC上にある:
\(\vec{OH}=s\vec{a}+t\vec{b}+(1-s-t)\vec{c}\)と書ける。 - OHは平面ABCと垂直:
\(\vec{OH}\cdot \vec{AB}=\vec{OH}\cdot \vec{AC}=0\)
このように数語化さえできれば、あとは数式をいじるだけの手の運動になります。
どうすれば数語力を鍛えられるか
数語力を鍛えるのにおすすめの参考書が二つあります。
数学の根幹を理解しながら鍛えたいか、問題を解きながらシンプルに鍛えたいかによってオススメする参考書が違います。
1公式の証明が1番の近道
数語力を上げるために必要なのが定義の理解。定義を征するものが数学を征するとはよく言ったものです。
そのためには基礎公式の導出をするのが一番手っ取り早いです。
よく考えられた王道の教科書
どの教科書でも問題ないですが数研出版の教科書がやっぱり王道です。
定義の導出から公式証明のアイデアまでしっかりと書いていて、数語力を鍛えるためにはもってこいの教材です。
公式証明まとめ書籍
教科書は手元にないし教科書を今更やり直す気になれない人もいるでしょう。
そんな人におすすめの参考書です。
こんな人にオススメ
- 教科書はもう嫌だ
- 手っ取り早く数語力を上げたい
- 公式だけ証明したい
2公式証明が嫌な人は青チャート
公式の証明なんて絶対に嫌だ!っていう人も中にはいると思いますが、実戦形式の中で数語力を鍛えていくことも可能です。
数語力を鍛える青チャートの使い方
- STEP1:
問題を解く際に、問題文に書かれている全ての条件、証明したいことを数語化する。 - STEP2:
条件が過不足なく数語化されているかどうかを確認する。(不足があれば証明は出来ないし、過分な条件は思考を邪魔する。) - STEP3:
問題文を見返すことなく、自分で数語化した文章のみを見て証明を導く。
おわりに
与えられた条件を厳密に数学化できる数語力さえ鍛えれば、入試問題なんて怖くありません。難関大学の入試問題も所詮、パズルのピースが増えただけです。
パズルのピースを組み立てる方法は実戦練習しかありませんが、必要なピースだけを選ぶのは数語化を鍛えればできます。
これまで適当に証明してきた人は一度この勉強法を試してみてください。