今回は”なぜ0=0になるのか”をメインに記事にしました。
誰もが計算の途中で導いてしまう謎の式。その式が出てくるのは同値な条件を二度使ってしまうからです。詳しくは続きをご覧ください。
同値な式を二度も使うな
計算し続けたらいつの間にか \(0=0\) になった経験ありませんか?一度 \(0=0\) になってしまうと悟りを開いてしまいますよね。一瞬でその問題を放棄してしまいます。
なぜ \(0=0\) になるのか?人類永遠の謎について私は明確な答えにたどり着きました。今回はそれについてお話ししたいと思います。
式が2つの場合
まず次の連立方程式を考えてください
$$2x+y=4$$
$$x+y=6$$
流石にこれを計算して \(0=0\) を導く勇者はいないと思います。
式が3つの場合
少し難しくなったバージョンを考えてみましょう。(答えがあるかどうか知りません)
$$x+y+2z=2$$
$$x+2y+z=5$$
$$2x+y+z=8$$
この場合は何人かに一人は \(0=0\) を導いてしまうと思います。計算が複雑になればなるほど、条件が多ければ多いほど、\(0=0\)が導かれやすくなるのです。
お馬鹿な実験
次の連立方程式をとこうとしてみてください。
$$2x+4y=12$$
$$-x-2y=-6$$
\(x\)をけしてとか、両辺足してとか、そういう計算をするとあら不思議
$$0=0$$
が導けます。何故か?
実は1つめの式と2つめの式は同じ式、いわゆる同値な式なわけです。それを連立させてしまうと必ず正しい式が出てきます。この場合は\(0=0\)ですね。
このトリックは二元連立方程式のように簡単な場合だと起きないです。なぜなら同じ式を二度使うなんて真似は普通はしないから。
でも連立すべき式が4つ5つになってくると、もうどの式を使ってどの式を使ってないかわからなくなるので、その複雑な計算の中でたまたま同値の式に同値の式を代入してしまって\(0=0\)が導けてしまうわけです。
連立方程式だけじゃない
\(0=0\)は連立方程式以外でも起こりえます。高校数学でも、同値である公式を二度使ってしまったら\(0=0\)が導けてしまいます。例えば入試問題の複雑な計算の中で余弦定理
$$c^2=a^2+b^2-2ab\text{cos}\theta$$
と内積の定義
$$\boldsymbol{a}\cdot\boldsymbol{b}=|\boldsymbol{a}||\boldsymbol{b}|cos\theta$$
を使って、何を求めるかわからないまま適当に代入してしまうと
$$|\boldsymbol{b}-\boldsymbol{a}|^2=a^2+b^2-2ab\text{cos}\theta$$
という自明な式が導けてしまうわけです。
他の簡単な例をあげれば、解の公式を2次方程式に代入すれば\(0=0\)が導けます。このように、同値な式を二度使うと\(0=0\)となるわけです。
まとめ
\(0=0\)になってしまう原因は同値な式を2度同じ形で使ってしまうことにありました。計算をする際は何をもとめたいのかそれをはっきりさせたうえで、公式を使っていきましょう。